「問い合わせ」と「問合せ」はどちらが適切か?
先日、ウェブサイトの「お問い合わせフォーム」や「お問い合わせ窓口」などの表記は、「問い合わせ」と「問合せ」のどちらが正しいのか、という質問をクライアントからいただいたので、判断の拠り所となりそうな資料を整理しました。
一般的には「問い合わせ」
新聞記事で使用する漢字、仮名遣い、用語、表記などについて定められ、記者や編集者に広く用いられている、共同通信社の「記者ハンドブック 第13版 新聞用字用語集」には「問い合わせ」と書かれています。
新聞や広告だけでなく、多くのウェブサイトでもこちらの表記が用いられており、デファクトスタンダード(事実上の標準)化しているといっても差し支えないため、一般の文章(後述する公用文以外の文章)では「問い合わせ」と表記するのが適切と考えられます。
なお、一般のウェブサイトで「問合せ」と表記しても誤りではないし、実際に大手企業のウェブサイトでも「問合せ」と表記している会社はたくさんあります。重要なのは表記が統一されていることです。
公用文では「問合せ」
一方、公用文の場合は、内閣訓令「公⽤⽂における漢字使⽤等について」の中にある、「2 送り仮名の付け方について」に準じて、「問合せ」と表記するのが適切とされています。資料内の該当する部分を以下に抜粋します。
文化庁の報告書「新しい『公用文作成の要領』に向けて」にも書かれていますが、現在において、「公用文」の明確な定義はないため、公的機関が公開しているウェブサイトのコンテンツを「公用文」と解釈するかどうかは判断が分かれるところだと思います。
実際、各省庁のウェブサイトにおいても、文化庁は「御意見・お問合せ」と表記されていますが、農林水産省は「お問い合わせ」と書かれています。また、厚生労働省やデジタル庁に至っては、そもそも表記の統一ができておらず、ひとつのページ内で「お問い合わせ」と「お問合せ」が混在している状況です(2024年4月6日時点)。民草には計り知れない高尚な理由があって使い分けているのかもしれませんが、そうでないとすれば少し残念です(特にデジタル庁)。
1981年新潟生まれ、千葉育ち。2007年よりウェブデザイナ・ディレクタとして、数社のウェブサイト設計および運用に従事したのち、2014年にフリーランスとして独立。同時に東京を離れて地方に移住。情報設計の理論に基づいた、合理的で使い心地のよいウェブデザインを模索しています。猫と工作とブラストビートが好き。